太鼓眼鏡の似非教育学的考察

太鼓眼鏡のブログです。不定期更新ですが、よろしくお願いします。

伊藤計劃シリーズ①

1月ほど前から映画が始まった伊藤計劃プロジェクトを2つほど映画館で見てきました。後からだけど本も読了しました。年明けたら残りの1つを読んで映画に行こうと思います。

project-itoh.com

読んだのは「屍者の帝国」と「ハーモニー」。

屍者の帝国 (河出文庫)

屍者の帝国 (河出文庫)

 

 

ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

 

めちゃくちゃざっくりざっくり内容を説明すると、

屍者の帝国は死んだ人間を意思のない状態で生き返らせる(正確には動かすことが出来るくらい?)屍者技術が普及した世界の話です。 生きている人間と屍者の体重の差が魂の重さであるとして、魂とは何かを問いているととりあえず今のところは理解してます。割りと文学作品を元ネタにしたキャラクターが多く登場するので、その辺りも含めて面白かったです。

ハーモニーは超過保護な思いやり社会になった世界で、優しさに潰されかけた人の話でした。これもメインのテーマは意思、魂です。人間の意思とは何か。この本では様々な欲求が会議を開いているような状態と定義されています。だからこの欲求をあるものだけを特化させるように操作してやれば人間の意思は操作可能、ということになります。この話は宇野さんの「リトル・ピープルの世界」で言われていた、現代は自分を最も掘り下げた者が最強なのだ、という論を元に見るとかなり面白いなあと。3人のメインキャラの関係を考えて、それぞれが何を象徴しているのかなんかをごろごろ考えていると楽しい話でした。

 

SF作品はあまり見なかったけれど、現代社会の一部を変えてありうる近未来を描くというのは結構面白いなと感じました。思考実験みたいですね。

 

次は虐殺器官を読むぞ!と意気込んでいたら家に忘れてきたので、今は屍者の帝国の後半(というか大部分)を亡くなった伊藤計劃の代わりに引き継いだ円城塔という人の「これはペンです」を読んでいます。

これはペンです (新潮文庫)

これはペンです (新潮文庫)

 

 ここに出てくる発想が屍者の帝国に似ているところがあって、あーなるほどなとか思ったり。

 

どれもおすすめなので来年にでもぜひ。